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──皆でキミを捕まえてあげるからね。叫んでも誰も来ないよ。さぁおやすみの時間だよ。甘いあまーい時間だよ──

「まさかこないに拡散するなんて……不覚やったわ。皆、大丈夫か?」
「ええ。でも、とてもこのままじゃ……きゃぁっ」
名称不明のロストロギアが、海鳴で猛威を振るっていた。
感染型らしく、時と共に被害者を増やしていくが、肝心の源が分からない。
四年生に上がったばかりのはやては、シグナム達と一緒にこの名も無きロストロギアの討伐に向かった。
このロストロギアは、互いに争いを誘発するという、古代ベルカ戦争でスパイ活動に使われたとしか思えない作用を有していた。
既に死人まで出ており、根元の破壊が急務だった。しかも厄介なことに、感染者は一般人だった。
無闇に傷つける訳にもいかず、またはやての優しさが切っ先を鈍らせ、戦況は後退する一方だった。
「くっ、囲まれてしもうた……でも、上ならまだ!」
ビルの袋小路に追い込まれてしまったはやてだったが、機転を利かせて空に飛んだ。
まずはヴォルケンリッターと合流しなければ……と思った矢先、周囲で一番高いビルの屋上をかすめた瞬間に足首を掴まれた。
「わ、わぁっ!」
飛ぼうとした力がそのまま足にかかって、付け根から千切れてしまいそうな激痛が襲った。
魔力の集中が途切れてしまい、コンクリートの地面に叩きつけられる。
頭を打って世界が揺らいでいる間に、何人もの男達がはやての周りを取り囲んだ。
「あたた……って、何? どういうことや? アカン、こっちに来ないで……」
足を挫いてしまって、上手く立ち上がることもできない。脳震盪の名残が集中力を奪い、再び空に舞い上がることができない。
ビルの屋上で血みどろの乱闘が繰り広げられていたと知ったのは、それから幾ばくもかからなかった。
心臓の鼓動に合わせて血を吹き出し、死を待つだけの屍を見て、はやては悲鳴を上げた。
一人の男がはやてのバリアジャケットを掴んできて、引き寄せられた。
その周りで何人もの男達が群がり、我先にとはやての身体に触れようとしていた。
「まさか、私に感染させる気? そうは……いかへんで!」
蹴ったり殴ったり押し退けたり、可能な限りの抵抗は尽くしたが、数が多い上に大人ばかり。
羽交い締めにされて吊し上げられ、じたばた暴れている最中に、金属バットを持った一人が近づいてきた。
「あかん……殺される……たす、助け……」
空を切ったバットが、はやての下腹部を直撃した。
内臓が飛び出て来そうな衝撃に意識が一瞬消え去り、元に戻ってきた頃には、
はやての身体は冷たいコンクリートに押さえつけられていた。肺が焼けるように痛い。
アバラが何本か逝ったらしいことが、辛うじて理解できた。
カチャカチャと、何かを開ける金属音。ひきつった顔で頭を上げると、そけこにはおぞましい肉の塊があった。
「ひぃっ……こ、来ないでや……私『まだ』なんよ……? そないな物騒なモン、はよ仕舞ってや?」
耳を貸す者はいない。理性を失った暴徒はいずれも目がギラギラとうねっていて、はやての目からは涙が溢れ始めた。
「や、止めてや……」
迫り来る影に怯えるのが却って楽しいのか、一人がニタリと笑って肉棒を頬に擦り付けてきた。
据えた臭いに頭を振り、少しでも逃げようともがくが、腕も腰も押さえつけられていてはできることなどないに等しかった。
「アカンて……私まだキスかてしたことあらへんのに……好きな人ができるまで、ちゃんと大切に取っておくんやぁ……んむぅぅっ」
無慈悲に挿入された肉槍の先端が、舌を乱暴に擦った。
頭がグラグラと揺れて、意識が遠ざかっていく。伸びた皮がべちゃべちゃ舌に絡み付いて、残された希望の全てを奪っていく。
「んむっ、んんんっ、んーっ!」
目の奥が痛い。初めての感触に脳が拒絶反応を覚え、全身の毛が逆立つ。はやては濁りゆく意識の中、絶望が目を覆っていった。
ファーストキス、だったのに。こんなおぞましいモノに捧げてしまうなんて……嘘だ。嘘だ。嘘だ。
こちらの意志なんて知ったことではないと、ぐちゃぐちゃ汚い怒張が口内を抉る度に、嫌な味がいっぱいに広がった。
「んぶぅぅぅぅぅぅっ!」
何の脈絡もなく、苦くて不味い液体が口の中に注ぎ込まれる。憎悪よりも嫌悪が先に立ち、あまりの臭気に咽せる。
流し込まれたのが白濁液だと気付くと、決定的な喪失感がはやてを襲った。
「ナメロ……ゼンブダ……」
「んんん、んんーっ!(嫌や、そんなの!)」
四つん這いになっていた下から蹴り上げられ、内臓が捻れる衝撃に、苦い水が逆流する。
皮の間に残った精液が、後から後から染み出してくる。口を開けたら最後、どんな痛みが待っているのか……
恐怖が先行するばかりで他の思考が焼失し、言われるがままに亀頭へ舌を這わせ始めた。
「んむ、ちゅぷ……くちゅ……」
信じられない。信じたくない。どんなに願っても、祈っても、現実は変わらぬまま目の前にあり続けた。
「ノメ……」
「ふぁ、ふぁい……」
口の中に溜まった精液と唾液が複雑に絡み合って、口内全体、鼻の奥にまで精臭が広がっている。
粘ついていて喉が動かなかったが、未来にしかないはずの痛みを幻視して、必死に汚液を嚥下した。
「んぐ、んむ、んんっ……」
汚い、汚い、汚い。ヘドロを飲んだ方がまだマシだった。嫌で厭でたまらない、苦しくて不味い味が鼻から抜けていった。
見上げると、まだ納得のいっていない顔。まだ少し残っているのが原因らしい。
隙間にまで舌を伸ばし、残滓まで綺麗に舐め取った後、またコクリと喉を鳴らした。
「ん、ぐ、ぐ……」
尚も腰を動かそうとした男に、後ろから鉄棒で殴りかかる別な男。どうやら、この悪夢は単に選手交替をしただけらしかった。
「いやや……もういややぁーっ!」
どんなに叫んでも、意思を理解しない彼らの前には無意味だった。
続く二本目の肉棒を口に突っ込まれた頃、はやては悪夢が覚めないことを知った。
バリアジャケットが無惨に破られ、純白のショーツが露になる。それをするりと下げられると、はやては気狂いじみた悲鳴を上げた。
「だ……誰か助けてぇ! こんなところでレイプされるなんていややぁーっ!」
何もかも遠くなる。救いがないと分かっていても、誰かを期待してしまう。
なのはも、フェイトも、ユーノも、他の騎士達も、今すぐこの場に駆けつけてはくれないだろう。
頭で分かっていても、理解できる訳がなかった。
秘唇の入り口を、男のモノがひたひたと当てられた。
息を飲んだと思ったその瞬間には、意識を地平線まで吹き飛ばす痛みが下腹部に走った。
音無き泡の音が、ごぽごぽ耳の奥で鳴った。
外界からの反応に乏しくなり、生きている感覚が失われていく。
指先の一本を動かすのも嫌で厭で仕方なくて、もし動くなら今すぐこの首を締めたいくらいだ。
よほど血が出ているのか、呼吸が浅くなってきた。
粘度の少ない液体が太ももに流れている感触から、どこかが裂けたのだと確信した。
「なんで……なんでこんなことになるん……? 初めてやったのに、初めてやったのに……」
涙と精液を、同時に飲み込む。
次から次へと相手にする怒張に顎が外れそうになり、強烈な吐き気が横隔膜から突き上げてくる。
「だれか……たすけて……」
頼みの綱、シュベルトクロイツは手にない。バールか何かのように扱われ、真ん中から二つに折れているのが見えた。
念話で何を叫んでも、口で同じ事を振り絞っても、助けが来る気配すら見えなかった。
「熱い! いやぁっ、何なの!」
胎に熱湯を注ぎ込まれたと思った。
マグマのようにどろどろした塊が、ぽたりぽたりとコンクリートの地面に落ちていく虚しい音が聞こえる。
体勢を変えられて、冷たい場所に背中を敷いた。
腕を押さえられていて首から上しか動かせないが、その僅かな可動範囲で分かったことは……
秘部からとめどなく零れ落ちるピンク色の液体だった。
今しがた、男が抜いた肉棒から、血の混じった液体がぬらぬらと妖しい光を放っていた。
鈴口から垂れている色は、赤ではなく白。遅れて届いた精と鉄の臭いに、全身から力が抜けていった。
「ゆめや……こんなの、ゆめにきまっとる……だれか、うそやっていうてよ……」
うわ言のように繰り返し、曇天を見上げる。涙と違って、雨はいつまで経っても降り始める気配すらなかった。
後はもう、男達のなすがまま。ペニスをひたすらに受け入れていた。
肋骨の痛みも麻痺して、ただひたすらこれ以上の苦痛がないように努めた。
彼らの目的は、単なる性欲処理。はやてはただ、その道具になってさえいれば良かった──はずだった。
五人目か、十人目か、とにかく尻まで冷たくなるくらい大量の白濁液を膣内射精された後、
周りではやての手に扱かせたり乳首に亀頭を擦りつけていた連中が、口々に不満をぼやき始めた。
「マグロダナ」
「コイツデシメヨウ」
残念そうな顔になって、一人が転がっていたシュベルトクロイツを拾い上げた。
折れたそれはバトンにもならない。一方の先はズタズタに尖っている、兇器にもなりうるそれを、刺を反対側にして構えた。
魔法が使えない人にそんな魔杖、役に立たないのに……!
「まさか……やめて、やめてや……死んでまう、そんなんいややあああああああああああああああああああぁぁぁっ!」
尖ってはいないが、硬さでは十分すぎる青い先端。それを、はやての股ぐらに押し付ける。
あらん限りの声で拒絶を示したが、彼らは受け入れてくれなかった。
「が、はっ……」
下から突き上げてくる、非現実的な痛み。赤い景色が一面を覆って、腹が内側から膨らまされたかのような感覚に支配される。
「オカセ、オカセ、オカセ。モット、コイツニダシタイ!」
はやては、遠ざかる意識の中、この世の全てを呪った。

***

管理局――いや、学校からも長い休みを貰った。このままでは確実に四年生はやり直しだろう。
なのは達と同じ学年から外れていくのが怖くて、勇気を出して学校に行ってみるものの、
クラスメイトだろうが教師だろうが、男性を見かけるだけで心臓が凍る恐怖が全身を巡り、泣きじゃくって全ての思考を止めてしまう。
自宅の窓から空を見上げる日々。もう、シグナムの剣もヴィータの鉄槌も、見れないし見たくない。
ただただ安穏とした動きのない日常の中でそのまま朽ち果てたかった。
そして崩壊は、足元から始まった。
元々が成長期の身体で生理不順だった気はあったが、それにしても来るのが遅すぎる。
石田先生を訪ねて相談したところ、何がしかの検査薬らしきものを渡された。結果を見て、石田先生の顔が真っ青になった。
「……あ、あはは、大丈夫よ。結果を分析してみるわ。ちょっと、シャマルさんを呼んできてくれるかしら。はやてちゃんはもういいわよ」
顔色で判断する限り、最悪の事態だと悟った。教育は受けているし、それくらい分かる。
診察室を出た瞬間にバタリと倒れ、そのまま意識を失った。最後の記憶は、廊下から飛び出してくる何人もの医師達だった。

はやては、夢の中では、永遠に続く夢だけは幸せだった。

──シャマル、はやての身体には赤ちゃんがいるんだよ。しかもそれだけじゃなくて、子宮内に炎症が広がっているんだ。
腫瘍の影も見えるし、手術で切除しないと──

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